
地域の未来をつくる挑戦
高齢者福祉に特化してきた法人が、なぜ子育て支援に乗り出したのか?その答えは、地域の声に耳を傾けた結果生まれた新しい可能性にあります。2年前、総社市に誕生した「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」は、親子に安心と喜びを提供し、地域全体を活性化させる存在へと成長しました。その背景にある物語を、具体的な エピソードとともにお届けします。

街に息づく暮らし
総社市は田園風景が広がるのどかな街ですが、ただ静かなだけではありません。この街には新たな息吹が感じられます。近年、企業誘致の成功により転入者が増え、若い世代が地域に活気をもたらしています。主要道路沿いには大型ショッピングモールやカフェが点在し、利便性と自然が融合する暮らしが広がっています。週末になると、広い公園で親子が楽しそうに遊ぶ姿が見られ、そこに聞こえる笑い声は、この街がいかに子育て世代に優しいかを物語っています。 総社市の子育て世代は、平日は仕事に励みながらも週末には家族全員でリフレッシュする場を求めています。このような地域のライフスタイルが、「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」の設立を後押ししたと言えるでしょう。

理事長のビジョンと行動力が生む未来

雪舟福祉会の理事長を務める守安氏は、長年福祉分野で活躍してきた人物です。元々は高齢者福祉を専門とし、多くの施設立ち上げに関わりながら、地域住民の生活を支えてきました。しかし、守安氏が持つ福祉への情熱はそれだけに留まりません。「地域全体が幸せでなければ福祉の意味はない」という信念を掲げ、次第に高齢者だけでなく、子どもや若い世代への支援にも目を向けるようになりました。
2年前、地域の子育て支援が不十分であることに気付き、「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」の立ち上げを決意します。「子どもたちの笑顔が地域の未来を作る」という思いを胸に、周囲の協力を得ながら奮闘します。
空きビルから生まれた希望
すべては駅前の空きビルをどう活用するか、という議論から始まりました。福祉用具の展示場やレンタルスペースなど複数の案が浮上しましたが、「地域の子どもたちのために使いたい」という理事長・守安氏の一言がすべてを変えました。
そこで、地域住民へのアンケートを実施したところ、「子どもを遊ばせる場所が足りない」「親が気軽に集まれる場が欲しい」という切実な声が多数寄せられました。さらに、地元の大学と連携し、子育て環境の現状調査を実施。「既存の施設が十分に利用されていない」という問題が浮き彫りになりました。
その結果、親子の笑顔が集まる「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」の設立が決定。空きビルの中に希望の灯がともる瞬間でした。



地域の家族みんなの居場所
「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」は、地域の家族にとって、全員がくつろげる「心地よい居場所」として機能しています。週末になると多くの家族連れで賑わい、子どもたちは広いプレイエリアで夢中になって遊び、親たちはソファに腰を下ろしてリラックスしたひと時を楽しみます。お弁当を持参して食事をする家族も多く、「ここに来れば家族全員が楽しめる」という声が多く聞かれます。
施設内には、乳幼児向けの柔らかいマットエリアや、知育玩具が揃うスペースがあり、子どもたちは飽きることなく遊び続けます。また、カフェコーナーでは地元の飲食店から軽食や飲み物が提供され、親たちはゆったりとした時間を過ごします。地域の家族が自然に集まる場所として、その役割を果たしています。
ある利用者は「休日になると、どこで過ごそうかと考えますが、ここなら親子で充実した時間を持てるのでありがたいです」と語ってくれました。



連携が生む地域の力

「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」の成功の背後には、地域の多くの団体との連携があります。地元の大学は施設の設計や運営のサポートを行い、地域の大学とも協力して親子イベントを開催しています。また、地域の企業とも連携し、寄付や物品の提供を受けています。
こうしたネットワークがあることで、「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」は単なる施設ではなく、地域全体を巻き込むプロジェクトとしての役割を果たしています。
地域住民の一人は「この施設があることで、地域全体がつながりを感じるようになりました」と感想を述べています。

SNSで広がる支援センターの輪
また「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」の成功の一因には、効果的な広報活動があります。特に、SNSを活用した情報発信は大きな役割を果たしました。Instagramを中心に、施設のイベント情報や利用者の楽しそうな写真を投稿し、親子の日常が豊かになるイメージを発信しました。
ある投稿では、親子が知育玩具で遊ぶ姿を「家族の大切な時間を育む場所」とキャプション付きで紹介。その投稿がSNS上で広がり、地元だけでなく県外からも「こんな施設があるなら行ってみたい」との声が寄せられるようになりました。
さらに、地元のインフルエンサーを招待して施設を体験してもらい、その様子を動画として投稿。動画は5万回以上再生され、センターへの問い合わせが急増しました。「実際に訪れてみたら期待以上でした」という声が多く、SNSを通じて新たな利用者層を開拓する結果となりました。
また、LINEを活用した予約システムも導入し、簡単にイベントや施設利用を申し込めるようにしたことで、利用者の利便性が向上しました。「スマホひとつで簡単に予約できるのがありがたい」との評価を得ています。


次世代へつなぐ挑戦
「そうじゃ子育ての駅ほのぼの」の成功を受け、法人はさらに地域の課題に取り組む計画を進めています。現在、施設の3階に児童発達支援センターを新設するプロジェクトが始動しました。この施設では、発達障害を持つお子さんやその家族に専門的な支援を提供する予定です。また、地域の社会福祉法人との連携を強化し、貧困家庭への支援やフードドライブの実施など、地域全体を支える仕組みを構築する計画も進行中です。
さらに、人と関わることが苦手、他者に遠慮してしまうという理由で、足を運ぶことが難しい家庭にも支援を届けるため、センサリールームの導入を目指しています。クラウドファンディングを活用し、地域住民とともに新しい形の子育て支援を実現したいと考えています。
「この街で子育てしてよかった」と思えるような地域づくりを目指し、私たちは挑戦を続けます。
他地域へのヒントとアドバイス
この成功を他地域で再現するためのポイントは以下の通りです. これらを実行することで、地域に根差した支援施設が誕生するでしょう。
- 1. 地域の声を拾い上げる
- 住民のニーズを徹底的に調査し、それに応える設計を行う。
- 2. 広報活動の工夫
- SNSを駆使し、施設の魅力を具体的に発信する。
- 3. 地域リソースの活用
- 行政、大学、企業との連携で支援の幅を広げる。
- 4. 親子に寄り添う空間づくり
- 清潔感、安全性、快適さを大切にする。

未来への挑戦と次世代へのつなぎ
現在、新たに児童発達支援センターの設立が進行中。発達障害を持つ子どもやその家族に対し、より専門的な支援を提供する計画が進んでいます。また、クラウドファンディングを活用した新たな取り組みも展開予定。地域と子どもたちの未来をつなぐために。雪舟福祉会の挑戦は続きます。
施設概要

- 法人名
- 社会福祉法人 雪舟福祉会
- 所在地
- 岡山県総社市久代5127
- 理事長
- 守安 伸聡
- URL
- https://sereno.sesshu-fukushikai.or.jp/
- 事業内容
- ●特別養護老人ホームシルバーセンターセレーノ総社
●デイサービスセンターセレーノ総社
●ショートステイセレーノ総社
●ケアハウスセレーノ総社
●小規模保育事業 ほのぼの保育園
●ケアプランセンターセレーノ総社
●総社市西部地域包括支援センター
●地域密着型特別養護老人ホーム 結いのさと 愛家里
●小規模多機能型居宅介護 つどいの家 愛家里