社会福祉法人未知の会 いのちの「循環」を子どもたちへ伝える

社会福祉法人未知の会は、隣接する障害福祉サービスを提供している「社会福祉法人ナザレの村」との協働で、保育所や障害者施設を運営しながら、EM(有用微生物群)の活動を通して地域社会や次世代の子どもたちのために環境教育や福祉活動に取り組んでいる法人です。今回は、環境教育をはじめとした、持続可能な社会を目指す活動について、理事長の野町文枝様にお聞きしました。

挑戦―子どもたちの健康を守るため

野町理事長が環境教育に関心を持つようになったきっかけは、レイチェル・カーソンの著書『沈黙の春』において、化学物質が自然界に蓄積され、食物連鎖を通じて人体に悪影響を及ぼすという警告を受け、子どもたちの健康問題と地球環境の汚染への危機感を抱いたことでした。平成の始まり、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持つ子どもが増加していたことから、食生活や環境の影響が大きいのではないかと考えました。
「なんとかしなくては」との思いから、無農薬野菜を使用した離乳食を作るために、農薬や化学肥料に頼らない方法で野菜作りを始めましたが、無農薬栽培は実現できませんでした。それがきっかけでEM(有用微生物群)の開発者・比嘉照夫教授に出会い、施設のすべてに取り入れました。
「今起きている子どもの育ちの問題は、乳幼児期のこの6年間にかかっている。」との信念から、特に乳幼児期の食事が生涯の健康に与える影響を重視しました。春日こども園の給食では、添加物のない安全な食材を使い、家庭的な手作りの食事を提供し続けています。

さぬきのため池40万トンの「久米池浄化作戦」

未知の会では、全国に先駆けてEM(有用微生物群)活動を始めた強みで環境教育や福祉活動を展開しています。その代表的な取り組みが「久米池浄化作戦」です。生活排水で汚染された久米池は、アオコや悪臭に悩まされていましたが、地域の水利組合からの協力依頼を受け、環境改善活動が始まりました。
この活動には、春日保育園や障害福祉サービスを提供している「ナザレの村」がEMの培養や資材の準備を担ったり、様々な協力をしました。学校の先生とも連携し幼稚園・保育園の子どもたち、小中学生、地域住民、水利組合、PTA有志など協力して浄化活動に取り組みました。そして、2年後には、久米池は美しい姿を取り戻しました。子どもたちは環境保全の大切さを学び、その学びは地元の小学校での4年生の環境学習へと今も引き継がれています。

豊かな瀬戸内海を取り戻そう

未知の会、ナザレの村両法人は、環境保全と環境教育のさらなる発展に力を入れています。地球温暖化が進む中、瀬戸内海は、生物が住むのに適さない環境になりつつあると言われています。「子どもたちへ希望ある未来を手渡すために、私たちが今できることを始めよう」との思いから、地域の小中学校のプールにEM菌の培養液200リットルを投入する活動を開始しました。この活動により、美しく豊かな瀬戸内海の再生を目指しています。

メッセージ

地元の小中学校での環境教育の中で、子どもたちに次のようなメッセージを送りました。
「今、私たちの海や川がこんなにも汚れてしまっています。この20年、私たちは地球の一部として生きていることを忘れて暮らしてきました。しかし、君たちはこれからこの地球を守る役割を担う世代です。一緒に地球の掃除に取り組んで、より良い未来を作りましょう」 このメッセージを受けた子どもたちの目が輝き、環境保全に取り組む姿に、私たちも大きな励ましを受けました。自然を大切にする子どもたちが未来の社会を担うことで、「今だったらまだ、間に合う」。そして30年後の世界は確実に良くなると確信しています。

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