公開日:2024年09月30日

【広島県】社会福祉法人昌和福祉会

子育て支援の輪 地域全体の保育力アップ

「子どもたちにとっては毎日が楽しい、保護者にとっては毎日が安心できる」施設経営を続ける昌和福祉会。複数法人と連携をし、地域に開かれた取り組みを行う理事長の難波富江さんに話を伺いました。

どんなときも支援を絶やさない

1977年に設立された昌和福祉会では、早期から子育て支援に力を入れてきた。

理事長の難波 富江さんは、「どんなときも支援を絶やさない」ことが大切だと語る。

――昌和福祉会では、どのような子育て支援を行っているのでしょうか。

「平成6年から子育てモデル支援事業を開始し、自主事業で休日保育や病後児保育をはじめ、365日体制で子育て家庭のニーズに応えてきました。

認定こども園「せんにしの丘」では、保護者の多様な働き方に対応できるよう、朝6時45分から夜22時まで保育を行っています。休日保育は、多い時には1日50名を超える希望者があり、ニーズは高いです。

また、経済的に厳しい状況にある家庭を対象に、法人独自で給食費などの減免規程を設けています。ほかにも預り金の保育料を一部減免するなど、保護者の負担を少しでも軽くできるように、困窮する子育て家庭の経済面での支援を行っています。

また、コロナ禍の令和3年からは小規模保育園を設立し、地域の待機児童のさらなる解消に努め、令和5年からは、その小規模保育園内に併設して、児童発達支援事業を開始しました。

そして、令和6年より、こども誰でも通園事業(試行的)も開始しています。さらに令和5年より30分単位(50円)の低料金の一時預かり事業(通称:だれサポ)も開始しており、入園児童だけでなく、地域全体の児童が通える環境づくりを目指しています。」

――地域の現状やニーズを把握するために、どのような工夫をしているのでしょうか。

「地域の現状やニーズを把握するため、地域支援担当者を法人全体で15名ほど配置しています。職員たちは、地域の声に耳を傾け、相談援助を行うなかで困りごとを見過ごさないように努めています。」

地域の子育てを支える「いくたす」と「ほいくの園」

昌和福祉会では、地域の保育をさらに支えるために、子育てサポートステーション「いくたす」を運営している。

さらに、複数法人が連携することで支援の輪を広げたいと考え、近隣保育園に声をかけ、子育て支援グループ「ほいくの園」を発足した。

――子育てサポートステーション「いくたす」では、どのような活動を行っているのでしょうか。

「大型商業施設で、子どもたちに遊びのひろばを提供するとともに、子育て相談を受けたり、保護者同士の交流の場を設けたり、子育て講座を開催しています。

一時預かりサービスは1時間200円で利用できるため、買い物やちょっとした用事を済ませる間に子どもを預けたい保護者にとって、利用しやすいと好評です。

そういう敷居の低さを意識的に作ることで、見守りや相談の機会につなげています。

個別の事業によっては赤字のものもありますが、法人全体としてトータルで福祉事業を遂行できればよく、総合的に取りこぼされる方が少ないようにあらゆる事業を行うことで、資源を地域に還元するように考えています。」

――子育て支援グループ「ほいくの園」の活動についても教えてください。

「「ほいくの園」は、市内の10施設ほどで、平成6年頃からスタートした子育て支援グループで、平成22年からは「いくたす」も加わり、現在まで継続して活動しています。

主な内容としては、平成12年より毎月1回、大型商業施設のひろびろとしたフリースペースで、主に未就園児とその保護者を対象に季節の保育イベントの活動をしています。

保育士の他、保健師や管理栄養士も参加し、子どもの発達や離乳食についての専門的な相談も受けています。」

――取り組みを始めて、どのような変化がありましたか。

「地域の目でふれる場所で保育を行うことで、子育て支援の存在を知らなった保護者にも利用してもらえるようになりました。

同時に、保育を専門とする社会福祉法人がどのように地域とかかわっているかを見てもらえることで、地域における保育園の存在意義が次第に高まっていきました。

市民全体の子育てへの安心感を広げてゆくことは、ひとつの法人で実現できるものではありません。同じ志のある法人が連携をして、互いに情報共有を行うことで、地道に子育て支援への理解を広げてきました。」

継続的な保育のため、法人を超えた人材育成

地域の子育てを支えるために、活動を広げる昌和福祉会。これからも支援を続けていくために、人材育成にも力を入れている。

――法人職員の人材育成で、取り組んでいることを教えてください。

「職員に対しては研修体制を整えて相談援助のスキルアップをサポートし、資格をもった相談支援専門員を増やすことで地域の相談窓口としての役割を強化しています。

職員にキャリアパスを示し、長く働きたいと思える職場環境をつくることで、地域に密着した継続的な支援が行えるようになります。」

――複数法人連携の活動は、人材育成にどのように影響しているでしょうか。

「複数法人で連携する「ほいくの園」の活動、そして「いくたす」との協働は、参加している保育教諭にとっても大きなメリットがあります。

昌和福祉会では、1施設につき1~2名の子育て支援専門職員がおり、ベテランの保育教諭も多くいます。他法人の保育教諭からは、ともに支援を行うことで、学びを得ることができた、という声が届いています。

法人同士がタッグを組んで職員のスキルアップを図ることで、地域全体の保育の専門性を高めることにつながっています。」

概要

社会福祉法人昌和福祉会

〒720-0004 広島県福山市御幸町中津原後平54-4

未来のために地域の子育てを支える活動を続けています!

ホームページはこちら

子育てサポートステーション「いくたす」や子育て支援グループ「ほいくの園」の活動はHPをご覧下さい。

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