公開日:2026年09月30日

【愛知県】社会福祉法人愛知たいようの杜

先駆的な多世代コミュニティ「ゴジカラ村」の現在地

愛知県長久手市の雑木林に、特別養護老人ホームや幼稚園、地域交流スペースなどが点在する「ゴジカラ村」。中核をなすのが社会福祉法人 愛知たいようの杜だ。先進的な取組が注目を集めてきたが、時代の変化にも直面している。ゴジカラ村の「いま」について、法人本部の福田さんから話をうかがった。

地域の方が自然に集まる「ゴジカラ村」

創設者の会社員時代の経験から“時間に追われない国”を理想とし、アフターファイブの「5時から」を意味するゴジカラ村。約1万坪の雑木林に施設が点在し、市民が自由に出入りする。

――「ゴジカラ村」とはどのような場所なのでしょうか。

「いまから45年ほど前、長久手市にも森林開発や区画整理の波が訪れました。長久手市長も務めた𠮷田一平氏が、地域の雑木林がなくなることを憂い、先祖代々の土地で学校法人を創設しました。さらに、高齢者が安心して暮らせる場所をという思いから、社会福祉法人をつくったと聞いています。

広い土地を活かし、これまでさまざまな地域活動を受け入れてきました。土いじりをしたい方には農地をお貸ししたり、幼稚園に子どもさんを預けているお母さんたちにデイサービスの調理員として働いていただいたり。ルールやリスクにとらわれず、誰でも「ウェルカム」の姿勢だったことが、エリアの特色をつくってきたと思います。」

――地域社会とはどのような関わりがありますか?

「ゴジカラ村では、敷地内を市民の方がたがウォーキングや散歩している風景が日常です。
特養の屋上には菜園があり、地域の方がたが趣味の畑仕事を楽しんでいます。市街地のように騒音が問題にならないため、歌やダンス、盆踊りの練習などで中庭にもよく人が集まっています。

敷地内には有償ボランティアチーム「きねづかシェアリング」が管理するヤギ小屋があり、フンを堆肥づくりに使い、堆肥は花壇に利用するなど、ゴジカラ村にあるものをつなげ、活かしてくれています。隣接する空き地で親子連れがサッカーをして、「ボールを取ってくださ~い」と事務室に声がかかることもあります。法人が主導する形ではなく、地域の人たちが自然に活動を生み出していることが特徴です。」

社会の変化で浮かび上がる課題

豊かな自然のなかで人と人とが助け合うゴジカラ村の暮らしは共感を呼び、多くの視察や取材を受けてきたが、課題もあるという。

――ボランティアはどのように法人に関わっていますか。

「創設当初は、地域の助け合いを支える存在として、多くの方が法人の活動に携わってくださっていたそうです。時代とともに地域との関わり方も変化し、現在はシニア世代を中心にボランティアだけでなくパート職員として収入を得ながら、法人を支えてくださる方も増えています。

学生ボランティアについても、『地域共生』や『多世代交流』に関心を持って参加してくださる方が多く、とてもありがたく感じています。

一方で、私たちが大切にしているのは、交流イベントを数多く実施することではありません。特養には特養の、幼稚園には幼稚園の、それぞれの日常があります。そして、ゴジカラ村の雑木林も、イベントのための場所というわけではなく、さまざまな人が自然に集い、それぞれの時間を過ごせる場所として育まれてきました。

法人がめざしているのは、特別な仕掛けによって交流を生み出すことではなく、日々の暮らしの延長線上で、人と人とがゆるやかにつながっていくことです。その考え方を理解していただけると、ゴジカラ村らしい魅力を感じていただけるのではないかと思います」

――法人理念はどのように継承されているのでしょうか。

「先代から伝わる「ぼちぼち」「ほどほど」「だいたい」といった価値観は、支援の現場や地域との関わりでは核となる考え方で、とても大切にしています。しかしそれを経営にまで当てはめてしまうと、上手くいかない社会になりつつあります。

例えば、建物が広く廊下が曲がりくねっていると、実はご利用者を見守るには不便で、介護職員の負担は大きくなります。雑木林に囲まれた環境は、通信会社の電波が届きにくく、ネットワークの構築には不利な環境です。落ち葉の堆積による建物の腐食や、倒木の危険もあります。土砂災害警戒区域にも隣接しているなど、風景としてはとても美しいのですが、自然との共生はとても難しいテーマです。

当法人ではここ数年、これらの課題に対応し、組織が効果的に回ることをめざし、不便さも含めて法人らしさとして理解してもらえるよう努めつつ、職員の負担を減らすための環境改善や仕組みづくりを進めています。これまで遅れがちだったDXも進め、危機管理や経営改善も意識するように変わってきています。

理念を継承しながら次の時代へ

完璧を求めず緩やかに人とつながる価値観を大切にしながら、危機管理や労働環境の面ではきちんと枠組をつくり、システムを整えていく。愛知たいようの杜は変革の過渡期にある。

――近年はどんな取組をしていますか?

「『不易流行』の言葉のとおり、根幹となる創設者の思いは継承する一方、法人の果たす役割や働き方は、社会情勢の変化に応じて変えなければならないと考えています。例えばケアハウス内のご家族宿泊用のゲストルームには、いまはミャンマーからの特定技能実習生に住んでもらっています。アパートを借り上げる方法もありますが、新しい多世代交流の形として進めました」

デイサービス事業所に隣接する「ほどほどカフェ」では、ご利用者がスタッフとなり、地域の方にモーニングを提供しています。

――今後はどのような展望を考えていますか?

「いろいろな方がいろいろな立場で相手を思いやり、関わり合う場所をつくりたいという設立当初からの思いは変わらずもっています。例えばエリア内に障がいがある方のグループホームがあって、介護福祉事業所で働いていただく。ゴジカラ村を自分の居場所として利用し、生きがいが見つけられる場所にしていきたいです」

同時に、次の世代の職員が福祉の仕事を選んでよかったと思える環境にするためにも、組織力やマネジメント能力を高め、業務の質を上げる仕組みづくりに取り組んでいきたいです」

概要

社会福祉法人愛知たいようの杜

〒 480-1148 愛知県長久手市根嶽1201

時代の変化にあわせた、雑木林の多世代コミュニティ

さまざまなボランティアを募集しています。

ホームページはこちら

活動の詳細はホームページをご覧ください。

戻る
ページTOP